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軽いトラウマのせいで私はセックスの時、恋人同士だった男性でも挿入の瞬間、固まってしまっていた。 故に気まずくなる。 なのに津久井の退廃的なレクチャーのせいで、私は性に目覚めた。 あの、どうしようもない行為。 トラウマも我も忘れた。 それ位、正気を奪う程、病みつきになりそうな技巧だった。 今までとは比べものにならなかった。 愛情で結びついていた相手のセックスが下手だったとは思わない。 愛情に端を発しないからこそ、卑猥になれた。 体が繋がれば心も繋がると勘違いし、彼との関係を割りきれない人間も過去にいた、と小耳に挟んだ。 彼との交わりを芸の肥やしにする人もいれば、心まで持っていかれズブズブになる人もいる… 私がこの世界に身を投じた理由の為にも、廃人になる事は出来ない。 第一、愛ではないのだ。 只のレクチャー、運動。 そう思えば良い。 だけど私はそんなに器用でない。 以後彼と一線を引いて、簡単には体を許さなかった。
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