第一章

8/62
前へ
/335ページ
次へ
外風呂は、石造りの露天風呂になっていて、成人男性が5人くらいが入ったらいっぱいになるような、こじんまりとした風呂だ。 露天風呂の周りは、日本庭園のような造りになっていた。 「凄い所だねぇ〜」 「本当だなぁ〜」 颯は蒼太と並び、周りを見渡す。 暫くして、一輝達がやってきた。 颯は、いつもの笑顔ではいるが、胸の鼓動がはやくなっている。 「気持ちいいなぁ〜」 髪はリーゼント、目付きが鋭くどう見てもヤクザにしか見えない一輝の父が、少し柔らかい表情になる。 「そうだね。」 「颯、大丈夫か?なんか顔赤いよ?のぼせた?」 「えっ?あっ?そうかも。俺先に出るね。」 そう言って、急いで脱衣場に戻る。そして、頭を下げてうずくまる。 颯は、一輝が露天風呂に入ろうとした時、タオルを退けて下半身がむき出しになっているのを見てしまった。 一輝のそれは、颯が思っていた通り大きかった。 胸の鼓動が早くなると同時に、颯の下半身も疼いてしまった。段々顔が熱くなってきた。 「だから、露天風呂来たくなかったんだ。僕おかしいよ、スグこんなになるなんて。」 颯は呟いた。 「颯大丈夫か?」 蒼太が、心配そうに声を掛けてきた。 「うん、大丈夫。」 颯はいつもの笑顔に戻る。 そして、着替えて部屋に戻った。 風香は、まだ戻っていなくて蒼太と2人だった。 「水飲んで少し横になってろ。」 「うん。」 颯は、蒼太からペットボトルの水を受け取り、飲んだ後横になった。 「なぁ〜颯。お前、なんか悩んでるんじゃないか?」 「え?ないよ、どうしたの急に?」 「そうか、ならいいんだ。」 颯は蒼太に、背を向ける。 ”僕はゲイで、一輝が好きだと言える訳ないじゃん” それから、風香が戻り、一輝達家族と一緒に夕食の懐石料理を食べた。
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

399人が本棚に入れています
本棚に追加