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颯は、高校3年生になった。
一輝とは一緒のクラスで勿論、隣の席を確保した。
ある日、放課後、職員室に行った一輝をその廊下で待っていた。
「一輝!一緒に帰ろう?」
「ああ。あのさ、さっき井川さんがーー」
”また井川愛子、僕が目の前にいるのに。”
「井川さんが、井川由香と男子2人に連れられて、体育倉庫に向かって行ってたんだ。」
「今日、運動部休みだよね?それに、運動部じゃない人らが体育倉庫行くの?なんかおかしいね。」
「やっぱり颯もそう思うよな?ちょっと行ってみないか?」
”井川愛子なんてほっとけばいいのに。早く僕と一緒に帰ろうよ。”
でも、またいつもの笑顔で頷いてしまう。
井川愛子が従姉妹の由香達に暴行されてぐったりしてるのを発見した。
一輝が井川愛子を抱きあげようとしたので、それを制して颯が抱き上げた。
”井川愛子を抱き上げる一輝なんて見たくない”
そして、彼女を荻野医院に連れて行く事になり、蒼太の車の後部座席に一輝が井川愛子と乗ることになった。
一輝の頭に井川愛子の頭を乗せ、身体を一輝が支えるようにして座った。
颯は車の助手席からルームミラーで一輝を見る。
一輝は井川愛子の手を握りしめ、心配そうに見つめていた。
”なんで、井川愛子ばかり見るの、一輝。僕はここにいるのに。少しは僕を見てよ。”
颯は複雑な気持ちになっていた。
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