399人が本棚に入れています
本棚に追加
颯達は、夏休みに入って海に行くことになった。
颯達には、もう1人幼なじみがいた。唯斗は、農家の息子で、近所に住んでいる。
お調子者で、バカで、でも憎めないそんな可愛い奴だ。だが、見た目は身体はガッチリしていて、男らしい。
風香は泳げないので、浮き輪でプカプカ浮き、その隣で、颯と唯斗がじゃれながら遊んでいた。
そして、疲れはて砂浜に上がったら、少し離れた所で、一輝と愛子が二人並んで座っていた。
そして、手を握っていた。
その様子を、風香も見て、唯斗に八つ当たりしていた。
”僕の目の前で、愛子と手を繋がないで。距離を縮めないで。”
颯は、風香達から見えない角度で顔をゆがめた。
”1人で、一輝が愛子を好きになっていく過程を見るなんて苦しい。風香は羨ましい。僕は誰にも八つ当たりも出来ない”
その夜、颯と一輝と唯斗3人で、一緒にテントで寝ていた。
でも、いつの間にか一輝がいなかった。
颯は、一輝がどこに行ったのか心配になってテントを出て、当たりを探した。
颯は思った。探しに行くんじゃなかったと後悔した。
一輝が愛子と抱き合っていた。月の光が明るくて、ハッキリと見えてしまった。
”一輝が愛子を完全に好きになっちゃった。愛子もきっと、、、。そんな一輝達を僕は祝福しなきゃならないの?僕はまたあの笑顔で笑わないといけないの?僕の方が誰よりも一輝が好きなのに。苦しい。苦しいよ。”
"それに、一日に二回も僕に二人を見せつけるなんて、神様、僕が一輝を好きな事は罪なのですか?"
颯は、静かに涙を流した。
「颯大丈夫か?」
一緒に海に来ていた蒼太が、後ろから声を掛けてきた。
”大丈夫って何?蒼兄ぃは僕が一輝を好きなのを知ってるの?それとも、愛子を好きだと勘違いしてるの?大丈夫な訳ないでしょ。この苦しみ、蒼兄ぃにわからないよ”
最初のコメントを投稿しよう!