終章

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三人は、愛子の家があった所や、思い出のある所を巡った。 颯は、愛子と優也の祖母の家があった場所に行くと、声を失う。 街は復興して行っているが、その辺一体は平地のままだった。 「ここが、私の家があった場所。今は何にもないんだけど。でも、いっぱい思い出があるから辛いなと思っても、毎日この場所に来ちゃうのよね。」 優也も数年振りだが、母親や祖母の事、色々な思い出が頭の中で駆け巡る。 「うっ、うっ、愛子ぉ~~!」 颯は、涙腺崩壊してしまったようで直ぐに泣くようになっていた。 愛子を抱きしめながらしくしく泣くので、さすがに愛子も呆れてしまう。 「もう、颯。泣きすぎ」 「だってぇ~!愛子頑張ったね!!本当、、、うわぁーん!」 更に顔をくしゃくしゃにして颯は泣いた。 「こら、颯。抱きつくのは俺だけにしなさい!」 優也は、やはり少しムッとしながら颯を愛子から引き剥がし自分に抱きつかせる。 愛子は、優也はもっとクールなイメージだったようなと思いながら、苦笑する。 それから、春子と優也と愛子がよく一緒に遊んでいた場所にも行った。 そこは、小さな神社だったのだが、どこから聞いてきたのか真偽は定かではない。その神社でキスすると一生一緒にいられる、縁結びの神社だと春子が愛子に言った。 愛子が大好きで仕方なかった春子は、そこで愛子にぶちゅーとキスをしたのだ。 同性でしかも、ファーストキスだった愛子には刺激が強すぎて倒れてしまった。 倒れた愛子を介抱したのは優也だった。 その事を少し思い出した愛子は、青ざめる。 「春子には本当に困ったよ。未成年、しかも中学生にキスするんだから。犯罪だぞ、全く。」 「今思い出しても、春ちゃんは熱烈だったわ」 颯は、ニヤリとする。 「へぇ~、愛子は春子さんとファーストキスしたんだぁ~。キスして倒れるなんて、初すぎ!」 愛子は、もう!!と顔を赤くして、颯をグーでポカポカ叩く。 「お前にキスした時は、顔を真っ赤にしながらも目を潤ませ、舌使いは匠で、初めてにしてはそれはそれはエロかったなぁ~」 優也が、しれっと言うものだから、今度は颯が顔を赤くして優也をポカポカグーで叩く。 「ちょっと!!何バラしてんの!!」 愛子は少し頬を赤くする。 「そうだ、ここは縁結びの神社だ。やらねば!」 優也は、真剣な表情になり、颯を抱きしめながらキスをした。それも、舌を激しく絡まる、颯が骨抜きになるようなとろけるキスをした。 「んっ、はぁんっ、ゆ、優、、さんっ、んっ」 優也と颯のどエロいキスを目の当たりにした愛子は、沸点を通り越し、バタンッと倒れてしまった。 倒れた愛子を見て、優也はまだまだウブだなぁと呟いた。
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