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暫く境内で、愛子を寝かしているとパチッと目を覚ました。
「愛子、大丈夫??」
愛子は、ゆっくり身体を起こし、大丈夫と言った。
「ごめんねぇ~!愛子が19歳になってもこんな、ウブだったとは~!」
最初こそは、心配そうにしていた颯だが、つい愛子をからかってしまう。
「もう!ウブで悪かったわね!!」
愛子は苦笑しながら、颯の背中を思いっきり叩く。
「いったぁ~い!!キス見たくらいで倒れる愛子が悪いんじゃん!!」
「人前で、見せびらかすものじゃありません!節度を持ちなさい!中里先生にも怒られてるんでしょ?」
「いやいや、蒼兄の性生活酷いからね!?あの人、人のこと言えないから!!」
愛子は、蒼太の本性を知らずにいるので、颯が何言ってるのか理解出来なかった。
「蒼兄は、元ヤンで元総長の100人切りの超ヤリチンなんだよ!騙されちゃダメ!!」
「うそー!全然見えない。信じらんない!!」
「蒼兄は、猫被りが上手いからね!」
「そうなんだ」
愛子は、まだ信じられないという感じで頭を横に振る。
そんな話をしていると、辺りがだいぶ暗くなっている事に気づいた愛子は、二人に泊まる所はきめているのかと聞いてきた。
「今日泊まっていくの?宿は?」
優也と颯は、日帰りのつもりでいたので宿は取っていなかった。
夕方には帰ろうとしていた。
「夕方、電車と新幹線乗り継いで帰ろうと思ってたんだよね。」
「日も暮れたし、せっかくだから、ゆっくりしていけばいいじゃない。家にいらっしゃいよ。」
「いいの?」
愛子は、うん、と頷く。
「私、今古い一軒家に住んでいるの。職場の先輩の実家なんだけど、今は誰も住んでいないから好きに使っていいって言ってくれて。しかも家賃3万円って格安で貸して下さってるの。だから部屋はあるから、せっかくだし、ね?」
「それじゃあ、遠慮なく。宿代代わりに、僕が夕飯作るよ!料理得意なんだよ!」
「そうなんだ!じゃ、夕飯は颯に任せるわね!」
神社を出て、歩いて20分の所にスーパーがあり、食材を買い込んだ。そこから少し坂道を登った所に、こじんまりとした木造の一軒家が建っていた。
「ここよ。さあ、二人とも入って」
優也と颯は、愛子の後ろについて、家の中に入っていく。
「おじゃましま〜す!」
颯は、荷物を台所に置くと、早速夕飯の支度を始める。台所は古いせいか、調理場が低くて、長身の颯は少し屈みながら食材を切っていく。
愛子も手伝うと言ったが、一人で作るからと優也と居間で出来上がりを待つ事にした。
居間は、10畳ほどの畳の部屋で、中央に炬燵、部屋の隅にテレビや棚が配置されていた。
夜は冷えるようになっていたので、優也と愛子は炬燵の中で、昔話をしながらまったりとしていた。
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