終章

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「お待たせー!!」 颯は短時間で、あっという間に夕飯を作った。それも、全て手が込んでいる物で、栄養バランスも完璧だ。 愛子は、颯が天才だというのは分かっていたが、こういう料理も簡単にできてしまうのかと感心した。 「すごいわね!美味しそう!いただきます!!」 愛子は、颯の料理を一口、口に入れるとその美味しさに目を輝かせてしまう。 「美味しー!!」 颯は、嬉しそうに喜ぶ。 「でしょう?花嫁修業はバッチリなんだから!」 「うん!すぐに嫁げるわよ、颯。」 優也は、颯の料理を黙々と食べながらしれっと言う。 「颯は、約1ヶ月後には俺の嫁になる。颯の誕生日にチャペルで二人きりの結婚式を挙げるんだ。」 愛子は、目をぱちぱちさせて驚く。 「結婚!?1ヶ月後に!?」 颯は、ちょっと照れながら、うん、と頷く。 「おめでとう!!二人ともお幸せに!!というか、幸せいっぱいだよね?」 「ありがとう!うん、もう幸せすぎてやばい!」 颯は、更に照れる。 そんな颯を優也は、優しく微笑む。 "嫁が可愛い、今夜ひっそり食べよう" 優しい微笑みの裏で、狼になっているとは露知れず、颯は愛子と談笑する。 「そう言えば、愛子は仕事は何してるの?」 「私は、今、この街の総合病院で看護アシスタントをしているよ。悟先生に紹介して貰ったの」 「そうだったんだ!仕事楽しい?」 愛子はふんわり笑う。 「大変だけど、すっごく楽しいよ」 「そっか!頑張ってるんだね。ていうかーー」 颯はニヤニヤと笑い出す。 「一輝ん家は、診療所だから、その為に花嫁修業してるんだね!」 愛子は、顔を真っ赤にして手を振る。 「ち、違うわよ!!何言ってるのよ!!」 颯は、益々おかしくて、からかう。 「え?違うの?一輝に告られてるんでしょ?」 愛子は、しゅんとする。 「それは、そうだけど、、、でも、、、」 「愛子も一輝の事好きなんだよね?なら、、」 「颯、愛子ちゃんと一輝君の問題なんだから口出ししないでおこうな」 優也は、宥めるように颯に言う。 「それもそうだね、ごめん。」 「ううん!ありがとう、颯。」 それから、色々な話をしながら夕食を食べ終え、片付けをした後、交代で入浴した。 居間と襖で仕切られている8畳ほどの畳の部屋に、愛子は二組の布団を敷いた。 「この部屋でゆっくり休んで」 「ありがとう。おやすみなさい。」 「愛ちゃん、お休み」 愛子は、それじゃあ、と言いながら襖を閉めた。
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