403人が本棚に入れています
本棚に追加
駅の近くに愛子の働く総合病院があるので、颯達を駅まで送ってくれた。
三人は駅のプラットフォームで、電車を待った。暫くして、颯と優也が乗る電車が来る。
電車に乗り込む前に、颯は愛子と向き合う。
「愛子、ありがとう。」
「こちらこそ、会えてよかったわ。優君にも。」
颯は、愛子が綺麗に笑うので、負けないと、キラキラ幸せオーラ全開笑顔を愛子に振り撒く。
"ま、眩しいわ、颯、、、"
愛子は、颯があまりにもキラキラしているので、立ちくらみがおきそうだった。
「愛子ちゃん、元気でな」
「うん、優君も。春ちゃんにも、、、宜しく言ってね?」
愛子は、あの春子を想像して、若干顔が引き攣りそうになるが笑顔を保てている。
「ああ。分かった。」
「愛子、いつか、また、帰っておいで!待ってるから!」
颯は、愛子の手を両手で握りしめて真剣に言う。
愛子は、え?と驚いた表情をする。
「待ってるよ!愛子!皆、愛子を待ってるからね!」
颯は優しく笑う。
愛子は、嬉しくて、薄ら涙を浮かべる。
「うん。ありがとう。」
颯は、思わず愛子を抱きしめる。愛子も抱きしめ返す。
「こら!颯、お前を抱くのは俺だけだ!」
優也は少しムッとしながら、愛子と颯を引き離す。
「うふふ、ごめんなさい。優也さん!」
ちょっとヤキモチを焼いてくれる優也が、可愛く思えて颯は優也にぎゅうと抱きしめる。
そして、二人は電車に乗り込み、ドアが閉まる。
電車が出発して、二人は、愛子が見えなくなるまでずっと手を振り続けたのだった。
電車と新幹線を乗り継いで、二人の住む街まであと少しという時、優也がふと思いつく。
隣で寄り添って座る颯は、疲れたのかウトウトしていた。
「颯、颯、」
「ん?なぁ~にぃ~?」
颯は、目を擦りながら、優也を見る。
「颯、ちょっと寄り道しないか?買いたいというか、注文したい物があるから一緒に見に行かないか?」
「ん?いいけど、何を買いたいの?」
優也は、優しく笑いながら颯の耳元で囁く。
「俺達の結婚指輪。指輪に刻印も彫りたいから時間かかるだろうし。出来上がりは結婚式になるだろうな。」
颯は、パァーっと目が輝く。
「嬉しい!見に行こう!!結婚指輪!!」
優也と颯は、途中下車をして、デパートに行きジュエリーショップを回った。
優也は、特にこだわりはなかったが、颯が一生物だからとついついこだわり、気がつくと閉店まで居座ってしまった。
そのかいもあって、颯も優也も気に入った結婚指輪を見つける事が出来た。
手を繋いで帰路についていると、颯は幸せそうに笑う。
「優也さんと結婚するんだ。嬉しいなぁ。」
「俺も嬉しいよ。」
「チャペルも、店が提携している所を紹介してくれたし。」
「そうだな。」
「海を一望しながら、誓いを交わすなんてロマンティックだよねぇ~!」
「あぁ~。」
「楽しみだな?」
「うん。」
颯が幸せそうにするので、優也も嬉しく思のだった。
最初のコメントを投稿しよう!