第4話 『南極の欠片』

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第4話 『南極の欠片』

 太郎君のおうちが建っている地球の欠片は、南極の欠片でした。  でも、太陽の光によって、多くの場所の氷は無くなっていましたが、人工重力装置のおかげもあり、残ったお水だけでも、かなり長く生きていられそうです。  欠片とは言っても、星の王子様の星よりは大きく、周囲が15キロくらいはありました。  太郎君は、『地球の子供小学校』の6年生ですが、学校の本部に行くのは年に2回くらいで、あとは、通信授業を受けています。  太郎君は、得意不得意がはっきりしていて、他人との会話は、さっぱりうまくできないけれど、お星さまに関することは、大人がひっくり返るくらい、よく知っておりました 。  そこで、太郎君は、この南極の欠片の中を探検したいと思っていました。    でも、それは、危険が伴うことなので、両親から禁止されていたのです。  お姉さまの、ヒロコさんは、もう、高校生でした。  なんでも抜群にできる、まあ、一種の天才でした。  そのお姉さまが、ある日、ふと、こう言ったのです。  「太郎、内部の探検に行こう。」  「はあ? なんで?」  お姉さまは、それ以上は答えませんでしたが、どうやら失恋したらしいことは、察しがつきました。  『あんな、見掛け倒しの男子に入れ込むからだ。』  太郎君は、そう、思いましたが、だまっていたのです。  ふたりは、ひそかに、洞窟探検の道具を用意しました。  それを援助したのは、父方の叔父さんでした。  この方は、大幅な変わり者で、どちからというと、社会からは浮いた存在だったのです。  「おいらを、一緒に連れて行くこと。」  を条件に、必要な装備は、おじさんが調達したのです。  両親は、お医者さまでした。  時々、診療の為に、欠片巡りをします。  三人は、そこを狙って、朝早くに出発したのです。        ************           f61ecb7a-bc45-4b38-aefa-d089455a3247                       仙酔島より    
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