第5話 『南極の欠片』 その2

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第5話 『南極の欠片』 その2

 この、欠片の中に降りて行く洞窟は、子供には、実は秘密扱いでしたが、最後まで確かめた人は、誰もいませんでした。  それは、個人のおうちの地下なんですから。  でも、欠片とは言え、小惑星ですからね、ばかには出来ないのです。  これが、『南極』の欠片だと思ったのは、叔父さんが初めてでした。  叔父さんは、これまでに何度も、この洞窟の入口から地下に降りていました。  そして、かつて誰も降りていない場所にまで、すでに到達していました。  しかし、そこに発見した、かなり広い空間から先に行く道筋は、まだ見つけられていなかったのです。  でも、音波探知機のデータによれば、この下に、さらに空洞があることは分かっていました。  どこかに、降りる方法があるだろうと考えて、いろいろと検討していたのです。  そうして、ひとつの仮説を立てました。  秘密の扉があるのだ。  なんてことは、まあ、ないので、地球での長い歳月の間には、通路にいろいろなものが積み重なっているだろう。  だから、掘ってみなけりゃわからない。  空洞があるらしき場所の上側を掘るしかないだろう。  もっとも、ここには、重機なんかは入りません。  そこで、叔父さんは、得意のロボット作りを応用し、探検専用ロボットくんを作成したのです。  大きさは、人間の大人くらいですが、猛烈なパワーがあります。  「ほかに入口があるなら話は別だがね。この欠片全体を何回しらべても、内部に降りる通路は、ここしかない。こいつは、でこぼこながら、ほぼ球形だから、どこから入っても、そう距離は変わらない。まあ、ここからさらに降りるしかないさ。」  そう言いながら、そのロボットくんを起動させたのです。  『ぴゅあ~~~~~~~、ぎんぎん。ぴゅあぴゅあ~~~~。』  そのように叫びながら、ロボットくんは、始動したのです。    ****************** 🤖
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