調査4日目、親善

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       ―休暇日Ⅵ 懐古と―    騎士たちが、なかなかの善戦を見せるので、ほかの生物たちも、競い合いの楽しさを知ったのか、段々と興奮が体の動きに現れるようになってきた。 「はっはあ!鍛練以外に、こんな遊びでも、楽しいじゃあないか!!」 皙煉(せきれん)騎士ディークが、高所から落下しながら、辺りを確認し、着地点を探す。 もちろん、飴玉(あめだま)の確認も忘れない。 なんとか、空中陸地層の活動場での初回締め切りに滑り込み、地形の変化に、思う(さま)体を動かして、競争に参加中だ。 時折(ときおり)、竜の尻尾とか、大きな獣の牙が(かす)めて、ひやっとするのが、(たま)らなく楽しい。 ディークが、その役目を担っていた頃、同志として共に立った政王は、ネイとサイの父親だ。 双子の弟、前々代祭王を失ってから、今はどこの空の(した)()ることやら。 「レダよ、こっちは、楽しいぞ…」 呟きが、風に乗って消える。 消えたように思う。 遠い空の向こうで、振り返った者がいたことを、ディークは知らない。 これからも、知ることはない。 ただ、今は。 楽しむ。 目の前にある、この、環境を。 「何を(ほう)けてやがる、元白剱騎士がよお!」 不意の声に、閉じかけた目を見開く。 風の音と気配に、体を(ひね)って衝突を回避する。 「っ!はあ!?攻撃するのか!破壊神ゼダン!?」 相手を見分けて、つい、現役時には()けていた呼称を吐き出してしまう。 しまったと思ったが、遅い。 これを言うと、調子に乗るから、嫌だったのだ。 「うふふふふう!お前の代まで語られているとは、ますます手を抜けねえぜ!」 「ちょ!待て!攻撃禁止だったろ!」 「攻撃ぃ?(じじい)は足腰が弱くてなあ!支えが必要なのよ!」 言いながら、体当たりしてくる、その身のこなしのどこに不安があると言うのか! 「年寄りには手を差し伸べるのが騎士だろうが!逃げるなよお!」 「審判ん!!規則違反だ!取り締まれえ!」 大声で叫ぶと、どこから来たのか、近くに鳥が飛んできた。 緑色で透明の彩玉鳥だ。 「ピュイッ!審判鳥レディだよ!異能による攻撃があることを認められない!規則違反に(あら)ず!遊戯続行!」 「わはははは!」 「なんつう大雑把!」 「審判鳥への侮辱は減点!飴玉(あめだま)1個没収!」 「ふああああっ!?」 あまりな対応に、沈着で知られたディークと言えど、動揺は隠せない。 「わはは!取り返せばいいだろお!ほれ!あっちまで遊んでくれよお!」 ゼダンの示す方を見て、ディークは方向転換する。 「くそっ!奪い合いなら良かったのに!」 「名案だ!今度やってやろうぜ!」 そんな言い合いをしながら。 口の(はし)に笑みが浮かぶ。 そんな、青空の、(した)。 誰かの風が、吹き抜けていった。
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