ダイブ（小説）

最近の仕事

最近は、都内に特別養護老人ホームを開設することになったとき準備室の室長を命ぜられた。

そこで一緒に働くことになる介護福祉士であった妻と再婚することになったのだが、開設は今まで経験したことのないハードワークであった。

人、物、金の段取りは、開設後、燃え尽きてしまうほどに追い込まれていることに動いているときにはわからなかった。

開設を無事に迎え数年が経ち、新しい職務を命ぜられた。

新しい仕事もやりがいはあったが、どこかで物足りなさを感じていた。

良くも悪くも開設準備の時に手にした高揚感を得られない日々の繰り返しは僕をダイブに誘（いざな）ったのかもしれない。

タバコのニコチンが誘う見せかけの高揚感が勘違いであるように、働き過ぎは、いつの日か無意識に「死」へダイブするのかもしない。