葛生化石館にて

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葛生化石館にて

葛生化石館に着くやいなや、スタッフらしき方(女性)に声をかけられた。 「お客さん、ラッキーでしたね」 「えっ?何がですか?」 どうやら台風19号の影響で、ずっと展示を中止していたそうだ。 それが今日から再開したとの事だった。 だから、ラッキーとの事。 僕が9月か10月だと思っていたのは、この台風が原因だ。 台風が来たタイミングをすっかり勘違いしていたからだ。 これは反省しなければならない。 ちなみに、ここに来る前にホームページをチェックしたのだが、チェックの仕方が悪かったのか、この情報を見つけられなかった。 もし、『この日もやってませんよ~』と言う事であったら、交通費と時間が無駄になってしまう所だった。実にラッキーだった。 さて、時間が無いので早速見学だ!と言う事で、展示内容を見て回る事にした。 すると、すぐに別のスタッフの方(男性)がやって来て、「化石についての説明をしようか?」と言った。 僕は、「お願いします」と答えた。 その時は僕一人しか客がいなかった。 僕一人のために、その方は一つ一つ丁寧に説明してくれた。 嬉しい限りだ。 だが、説明が丁寧すぎた。 時間がどんどん過ぎて行くのだ。 まだ全行程の3分の1も見ていない。 その時、もう一人客がやって来た。 若い女性だ。 若い女性もスタッフの方の説明を聞く事になったが、僕は時計を見て、「済みません。もっと聞きたいのは山々ですが、電車の時間もあるので、ここで失礼します」と言って、先に進む事にした。 決して言い訳では無い。 本当に時間がやばかったのだ。 後、30分ぐらいしか無かったはず。 なので、その先はサクサク見ていく事にした。 だがそれでも、興味を引く物もいくつかあったので、そこは少しだけ立ち止まって見る事にした。 そして、最後の部屋にたどり着いた。 残り20分と言った感じだった。 ちょっと慌てて見すぎたか・・。とも思ったが、確実に電車に間に合わせないといけない。 なので、最後の部屋もサクサクと見る事にした。 「ん?」 出口の前に何かが置いてある事に気付いた。 テーブルの上に四角い入れ物があって、そこには新聞紙が敷いてあり、その上にはたくさんの化石が入れてあった。(ちょっとうろ覚え・・) そしてそこには、『ご自由にどうぞ』の文字が。(これも少し曖昧) ご自由にどうぞ? 触って良いって事か? それとも、持って帰って良いのか? 僕は悩んだ。 しばらくそのテーブルの前で佇んでいた。 その時、 「どうかしましたか?」 と声をかけられた。
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