あと一歩届いていれば

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つい壁の時計に目を向けるともう22時を回っていた 飲んだくれて5時間ぐらいここにいることになる そう思うと急に申し訳なくなってきた 「そろそろ帰るよ 会計を頼む」 席から降りると体重が後ろに引っ張られる 「あ」 酔ってるせいか重心が戻ってこない 照明で目の前が真っ白になった瞬間後頭部を叩きつける 酷く鈍い痛みが脳に響く それなのに痛いという言葉が出てこない 「おい大丈夫か?」 上から新太の声が降ってくる 「ああ 痛てぇけどなんとかなる…はずだ」 そう言うと新太は肩を貸してくれる 「お代はいいよ また来た時にでも渡してくれ」 新太は呆れたようにタクシーを呼びオマケにタクシー代まで前払いで払ってくれる 今日は迷惑をかけてばかりと反省するもその全てを頭に回ったアルコールが攫っていく
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