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それから、時は流れてーー
「もうすぐ付き合って1年だな」
今年もキャラメルモンブランラテを飲みながら、佳英は俺の前で嬉しそうに頷いた。
「何しよっか? あ、やっぱりスイーツブッフェ?」
前のめりで提案してくる彼女に、自然と頬が緩む。
「あのさ、俺行きたいとこあるんだけど」
俺は、あそこへ行こうと決めていた。
「へぇ、珍しい! じゃあ、そこ行こう?」
「でさ、提案なんだけど……」
「何?」
俺は、ごくんと唾を飲み込み、佳英の顔をしっかり見て言った。
「駅で待ち合わせ、しないか?」
キョトンとした彼女は、そのまま固まる。一瞬の沈黙ののち、佳英が口を開いた。
「え、何で?」
「その方が、デートっぽいだろ?」
ふいっと背けた俺の顔を、佳英が覗き込む。
「あはは、雄嗣顔真っ赤!」
「悪いかっ!」
俺はそのまま赤くなった頬を隠すように、キャラメルモンブランラテに口をつけた。
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