スイーツブッフェ・リベンジ

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 やっぱり駅前で待ち合わせなんて馴れなくてソワソワする。俺は口の中にストロベリーミントキャンディを放り込んで、ガリガリと噛んだ。 口の中で3粒目のキャンディが噛み潰された頃、ふと顔をあげると、案の定駆け足でこちらに来る彼女がいた。  ベージュのトレンチコートをなびかせ、嬉しそうな顔でこちらへ一目散に駆けてくる彼女。  気付いたら、俺の足は彼女の方へと駆け出していた。  彼女は人目も憚らず、俺の胸の中に飛び込んできた。俺もなんだか嬉しくなって、彼女を腕の中に閉じ込めた。 「なんだか、10年ぶりに再会したカップルみたい」 「いいんじゃないか? たまには」 「らしくないなぁ、もう」 「いいんだ。俺は今、嬉しいから」  あの時のように、また佳英の記憶から俺が消えてしまったとしたら。  例え何度忘れられても、俺は佳英に恋をする。  佳英が佳英である限り、俺には他の選択肢は思い浮かばない。 「佳英、俺お前が大事だ……すごく」 「……うん。あーのさぁ……」  佳英は申し訳なさそうに俺の背中を叩く。  周りの囃し立てる声にはっとした。駅前の、人通りの多い通りで、なんということをしているのだろう。  俺はぱっと腕を解くと、さっさと歩き始めた。 「い、行くぞっ」 「あ、待ってよ……」  佳英の小さな手が俺の手を掴む。掴まれた手を握り直して恋人繋ぎにしながら、にやけた顔がばれないように彼女の半歩前をせかせかと歩いた。
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