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それが眩しくて、眩しくて。
太陽のような律の生き様に当てられた俺は、なんだかんだで看護師なんかになって。
感謝している。
今の俺がいるのは、律のおかげなんだよ。
愛香という最愛の人に出会えたのも律のおかげだよ。
あんなに遊んでいた俺なのにさ、真面目に働いて、子ども養ってるんだよ。
律が死んだ日、夢を見たんだ。
お前にコンコンと説教される夢だった。
部屋を片付けろだの、遊びすぎんなだの、講義は真面目に聞けだの。
それでお前は死んだんだなぁと理解したけど、それにしたって説教はひどい。もっと他に言う事があったんじゃないか。俺はいい友人だっただろ?
十年か。
まだ死んだ事が嘘のように思える時がある。
お前はきっと、どこかで、自由になった体で、俺たちのそばにいるような気がする時がある。
まあ、気のせいなんだろうけど。むしろさっさと成仏してくれ。
なんて思いながら、仏壇に線香をあげるわけだ。
最後に見た律は信じられないほど痩せ細っていたのに、写真の中のお前はどうしてこんなに元気そうなんだ。
「健くん、そろそろ食事にしよう。結の好きなもの、たくさん買ってきたからね」
手を合わせて物思いに耽っていると、律の父親の正行さんがやって来て言った。
「はい、今行きます」
結が食べ物の良い匂いに釣られたかのように、和室を飛び出していく。俺もその後に続いてリビングに戻った。
リビングでは、正行さんの言う通り、これでもかと豪華な食事が並んでいた。出来合いのもと手作りのものが半々。
結は愛香の隣にちょこんと座り、すでに好物のポテトサラダを食べている。
「そういや律もポテトサラダ好きだったよな」
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