第一話 発覚

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 同級生たちとは、それなりに何か話したりもしたけれど、覚えていないくらいどうでもいい話だった。彼女はできたかとか、大学は楽しいかとか、そんなもの。  みんなとの別れ際、また、俺は何もないところで転んだ。べちゃべちゃのロータリーで尻餅をついた俺を、みんな笑いながら助け起こしてくれる。  せっかくのスーツが台無しだと俺も笑った。 「ホント、律って鈍臭いよな、昔から」  全くその通りだ。  じんわり冷たさの残るケツに、やれやれとため息がもれる。  多分母親はキレるな。汚してしまったんだから。でもま、今日くらい許してくれるだろう。というか、雪なんか降るのがいけない。  なんてことを考えていると、父親がまた迎えに来て、そのまま予定していた外食となった。  いつにも増して豪華な食事だったけど、予想していた通り話題の中心は兄で、俺はせっせと食事をして、帰るまでの間ひたすらスマホでパズルゲームをして過ごした。  俺の扱いなんてこんなもんだ。昔から変わらない。  そんなことより、今日は二度も転んでしまった。我ながら不運な日だ。これからは気をつけよう。  なんて思いながら、俺の成人式は無事に終わった。
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