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希望の女の子
泣き止んだ私は浩輔と一緒にフェンスの中に戻って、車椅子に座った。そして改めて、そこに居る女の子に気付いた。グレーの膝上のワンピースを着た彼女は十歳くらいだろうか……。次の瞬間、私はハッとして彼女の黒いハイソックスの右脚に目を奪われた。右脚のハイソックスは脹脛部分が大きく膨らんで、踝の部分からは細い金属製の部品が覗いている。
「えっ? 貴女の脚……。それって……」
私が女の子の右脚を見ながら呟くと、彼女が大きく頷いた。
「うん、お姉ちゃん。そう私の右脚は義足だよ。でもね……こうやって……廻ったり……」
女の子は、その場で右脚を軸にクルリと回転して見せた。私はそのスムーズさに目を奪われた。
「そして、走ったりできるんだよ!」
次の瞬間、私は目を見開いた。彼女は私に向かって駆け寄って来たのだ。私の車椅子の前でギュっと止まると、彼女は満面の笑みを見せた。
背後から浩輔の声が聴こえる。
「彼女は高山香織ちゃん。義足開発のスタートアップ『サイバーフット』社の電子制御義足『EF20』を付けているんだ。この『EF20』は複数のセンサーで、進む方向、地面の角度、歩行スピードなどの情報を毎秒100回監視して、コンピュータが油圧シリンダーを制御するんだ。これにより、様々な状況でも安全に、そして自然に歩行が出来るんだ」
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