希望の女の子

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「そして……? なに?」  浩輔は自分のスマホを取り出し、ある記事を開いてくれた。それは昨年の十一月、ドバイで開かれたパラリンピック陸上の世界選手権の男子100メートルの記事だった。 「両脚義足のドイツの選手『ヨハネス・フロアス』さんが世界記録を出した記事だ。義足でも10秒台で走れるんだ」  私はその記事を見つめていた。両脚に義足を取り付けた選手が走っている写真の下に10秒54という数字が踊っている。私の心臓の鼓動が高まっていた。頬が上気して火照っているのが分る。そうか……義足でもこんなスピードで走れるんだ……。  この時、私の心に新たな夢が生まれた。 「私……、義足で100メートルを走ってみたい。そしてパラリンピックに出てみたい……」  私のその呟きを聞いた香織ちゃんが笑顔で大きく頷いた。 「お姉ちゃん! 凄い夢だね。私、応援している!」
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