神様、お願い……

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神様、お願い……

(……神様、お願い……、私の右脚を元通りにして……)  目覚めて数日、私は泣きながら過ごした。それは神様に願いながら、同時に神様を恨みながら過ごす日々だった。  更に私の心を傷つけたのは……。 『秋月詩織さんの交通事故は本当に残念ですね。右脚を切断する大事故で、せっかく内定していた東京オリンピックの出場も取り消しとなってしまいました。秋月さんは数十年に一度の逸材と言われていましたから、オリンピックでのメダルを期待していたファンからも失望の声が上がっています』  私が脚を切断した以降、連日、同様の内容が放送されていた。テレビだけでなく、ネットや新聞、雑誌でも同様で、その報道や記事を目にする度に、私の心は大きく掻きむしられた。  そして私は全ての外界の情報をシャットアウトした。もう何も聞きたくない。私の人生全てを掛けた”走る”ことを奪われた私は、完全に自暴自棄だった。
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