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浩輔の説明を聴きながら、香織ちゃんの義足に目を奪われていた。これを付ければ、私も歩けたり、走れたりするかもしれない……。
「もちろん、この『EF20』を使いこなすには、君の身体にフィットした専用義足を開発しなくちゃいけないし、長い時間を掛けたリハビリが必要だ。でもその努力をする価値はあると思うんだ。香織ちゃんは約半年のリハビリで完全に義足を自分の物にしている……」
そう言う浩輔に香織ちゃんが大きく頷いてみせた。
「私も事故で脚が無くなった時、とっても悲しかった。もう一生車椅子なんだって思っていた。でもこの義足が私に新しい生活をくれたの。以前と全く変わらない、学校にも普通に通えるし、お友達とも遊べるんだよ」
私はそう笑顔で話す香織ちゃんを見ながら頷いていた。そして背後に居る浩輔を振り返って見上げた。
「浩輔……。私、香織ちゃんと同じ義足が欲しい……。でもこの義足高いんでしょ?」
浩輔が私を見降ろして笑顔で頷いている。
「そうだね。でも大丈夫。実は僕、『サイバーフット』社に内定を貰ったんだ。社長は帝国大学の先輩で、僕が詩織の件で相談に行ったら親身に相談に乗ってくれて……。君が義足を使ってくれれば宣伝にもなるから、試作品を無料で提供したいって社長が言っている。そして僕もこの会社に入社して君の義足の開発をサポートしたい。そして……」
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