9人が本棚に入れています
本棚に追加
「うーん。なるほどね……」
私の話を聞いたお兄ちゃんが、コーヒーを一口飲んだ。
いつもはお風呂上りにはビールと決めているお兄ちゃんが、アルコールを呑まずに私の話を聞いてくれている。
ありがとう、お兄ちゃん……。
「……私は智明くんと行く旅行、凄く楽しみだったんだよ? それは智明くんも分かってるはずなのに……。浮気してたらこんなに楽しみになんてしないよ……」
私は側にあったタオルで顔を覆って呟いた。
「桜子……。『分かってるはず』って思ってるのはお前だけで、彼は『分かってない』かもしれないよ」
お兄ちゃんが私の頭にポンと手を乗せて優しく言った。
「男ってさ、察するのが苦手なんだ……。まあ俺の持論でしかないから、お前の『智明くん』は違うかもしれないけど」
最初のコメントを投稿しよう!