9人が本棚に入れています
本棚に追加
「昨日は、ごめんなさい!」
「昨日はごめん!」
2人の声が同時に部屋に響いた。
「えっ……?」
「えっ……?」
私が思わず顔を上げると、驚いている智明くんと目が合った。
智明くんがぷっと笑い出す。
「……ははっ。俺たち息ぴったりじゃん」
「ふふっ。ホントだね」
私もつられて、くすくすと笑ってしまった。
智明くんが、ふう……と息を吐いて真面目な顔で私を見た。
「桜子、ごめんな。俺に言わないことがあるからって、浮気を疑うのは短絡的だったよ。……ホントごめん」
私は慌てて首を横に振った。
「謝るのは私の方だよ。智明くんに重いって思われるのが怖くて内緒にしてたのは私だし。けど……。」
私は大きく、はああ……、とため息をつきながら両手で自分の顔を覆った。
「まさか、自分が浮気を疑われるくらい挙動不審だったとは思わなかった……」
恥ずかしくて、顔も耳も赤くなっていくのが分かる。
智明くんが私の後ろに移動してきて、両腕で私の体を包み込んでくれた。
(……温かい。智明くんの腕の中、なんか安心する……)
最初のコメントを投稿しよう!