9人が本棚に入れています
本棚に追加
数日前の夕食のこと。
「そうそう。今度、従妹の麻由ちゃん結婚するんですって」
お母さんが言った。
「麻由ちゃんが? それはおめでたいね!」
と、私。
「へー、そうなんだ」
と、お兄ちゃん。
「確か桜子の2つ年下だったわよねえ。……ところで桜子はそろそろ、どうなの? 結婚とか」
……ああもう。またその話。
私は今年30歳。お母さんが心配しているのも知ってる。
最近は会話に『結婚』的な話題をちらちらと織り交ぜてくる。
ちなみにお兄ちゃんはもう彼女と結婚の約束をしているから何も言われない。
「他所は他所、うちはうち。小さい頃にそう言ったの、お母さんじゃん」
「そりゃそうだけど……。いや、それとこれとは別……」
「とにかく! 私は私のペースがあるの! ご馳走様!」
私はさっさと話題を切り上げて食べ終わった食器を片付けて部屋に戻ろうとする。
「母さん……。心配するのも分かるけど、そっとしとけば? あいつもいい大人なんだし」
リビングのドアが閉まる前に、お兄ちゃんの私をかばってくれる声が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!