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そして今日。一緒に夕ご飯を作って食べながら、旅行の話をしようということで、私は智明くんの家に行った。
私が作った親子丼を好きだって智明くんが言って、おいしそうに食べてくれる。
……嬉しいな。
食事が終わってコーヒーを飲んでいた時、スマホにメール着信があった。
体験申し込みの結果メールだと思って画面を見ると、別のショップからのダイレクトメールだった。
(なんだ、違った……)
私はバッグの中にスマホを入れた。
それを見ていた智明くんが、飲んでいたコーヒーをテーブルに置いて私に言った。
「桜子さ、俺に何か隠してない?」
「えっ? どうして?」
私はちょっとどきっとした。
「だって最近、スマホばかり見てるし。それに、俺にスマホの画面を見えないようにしてない?」
私はバッグの中のスマホを見た。
(……話すなら、今がチャンスかも! 『旅行でペアアクセサリー作りたいの』『指輪なんだけどね』って)
私は智明くんを見た。説明しようとして、ふと不安になる。
(……智明くんに、暗に結婚を迫ってるって思われたらどうしよう……。重いって思われたく、ない)
私はどう説明したらいいか考えながら、自分の膝の上で組んでいた手に目線を落とした。
そしたら、智明くんが言った。
「あのさ。浮気、とかしてないよね?」
「えっ!?」
私は驚いて顔を上げた。
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