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「……ってことがあったのよ……なんて、言えるわけないし」
あの後、家に帰った私は疲れていたのかお風呂を出ると直ぐに寝て、次の日学校に来ていた。
しかし昨日の出来事を友達に言えるわけもなく一人、窓の外を眺めていた。
「はい、皆さん、今日は転校生を紹介しますね」
ホームルームで先生と同時に入って来た女の子……に見覚えがあった。
それもそのはず、昨日今日で忘れるわけもなく、黒板に書かれた名前を見て更に思い出す。
「この子の名前は百合桜さん、仲良くしてあげてね」
先生に紹介された桜は私を見つけると嬉しそうに手を振っていた。
それを見て見ぬしていたが席が決まり、ホームルームが終わると同時に私に駆け寄り腕を掴むと同時に屋上に連れ出した。
「いいねー、学校は若い人が多くて!」
「……なんで?」
「神様の力ってやつ?」
笑いながらお馬鹿なこと言っている見えるが、自称神様? 神様? らしいこの人が昨日の今日で学校に転入できる、ということはやっぱりそう言うことらしい。
「本当……だったんだ」
「初めからそう言ってるのにぃ、信じてなかったの?!」
「信じてなかった」
桜は酷いと少し怒り気味で言うが顔は微笑んでいた。
あんなことがなければ友達になれていた……今もなれる気がする。
そんなことを思っていたのに。
「でも、さすが美夏、私の彼女ね!」
「違うから」
そのやり取りは教室に入るまでも続き、桜について話に来るクラスメイト達にも私が彼女だと冗談ではなく本気だと言って教室を少し騒がせた。
だが……クラスメイト達はそのことを茶化すことはなく、まるでそれが真実だったかのように信じ、私と桜の仲? を認めた。
「また何かしたでしょ?」
「してないしてない、今回は何もしてないわよ」
何度問いただしてもそう言い、桜は家に帰った。
それ以降、桜は学校に通い私と同じように授業を受け平凡な日常を繰り返していた。
しかしそんなある日、唐突にそれが終わった。
「うん、満足した……というわけで、美夏! 私に付いてきて!」
あれ以降、彼女だ! なんだと騒がず、女友達の一人のように付き合っていた桜に従い付き合い……向かった先は私の家だった。
どうして自分の家に? と言う疑問は抜けなかったが、とりあえず家の中に入ると父親と母親が待っていた。
「美夏、あなたにこんな可愛い彼女さんがいるなんて……」
「私も嬉しいぞ、恋愛ごとに興味を示さなかったお前が……」
「というわけ、今日からこの家でお世話になるわね!」
どうもこうも、私がいない間? それがいつかはわからないが……桜は父親と母親を説得し、この家に居候することになった、なっていた。
しかも私と同じ部屋に。
「……どうして?」
「え? そりゃあ外堀から埋めるのが一番大切だってこの本に書いてあったし」
読んでいた良くわからない本を私に渡してくるが、それを受け取らず怒った顔をする私に桜は抱き着き、ベッドの上に寝転がらせると笑顔で言った。
「これからもよろしくね! 美夏!」
神様……お願いします。
どうかもう一度……祈らせてください。
そんな思いを抱きながら私は目の前にいる神様こと桜を退かすことに集中した。
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