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5『戦う前に、勝つ女!』
ほんの数秒で、決着はついた。
勝負を分けたのは。トラフが、博士の背後にある金属製給水タンクの足の一本に、ユキコの小型アルマジロ爆弾を見つけたこと。
トラフの撃った弾丸が命中し、起爆した。
給水タンクがバランスを崩し、二人の方へ倒れてくる瞬間。
博士の体にあたっていた太陽の光が、給水タンクで陰った。
博士の身体の光が弱くなる。
「何??」
振り向いて咄嗟に構える博士。
「うぐぐぐぐぐ。」タンクを両手で抱え、押し返そうとしている。
しかし、再び爆発。
それは、抱えていた給水タンクの内部で起こった。
尖った給水タンクの破片が、博士の体に突き刺さる。
「うがあああああああ」
タンクの下敷きになる博士。そして第三の爆発。
第二の爆発で空いたタンクの穴から徹甲弾が飛び出し、博士の腹部を貫いた。鎖が弾底から伸びており、博士の体とタンクをしっかりと繋ぎとめた。
「遅いぞ。ユキコ。」
トラフは、ジャケットの埃を払いながら立ち上がった。
「ナイスタイミングでしかないでしょ?感謝して。」
横倒しになった給水タンクの蓋を開けて、ユキコが出てきた。シールド発動で、爆発と水濡れをガードしていた。
「全く。いつもいつもイイトコばっかりもっていきやがって…」
「はいはい。クレームは政府相談窓口へどうぞ。電話番号教えましょうか?」
「どうせたらい回しにされるんだろ?お役所仕事に付き合う気はねえよ。」
「ちゃんと美人女性アテンダントたちがたらい回しにするよう手配しますから。」
「今すぐ番号を教えてくれ。」
「あいつら…ドクターをコケにしやがって…シット…」
瓦礫の後ろに隠れて、助手はスムージーを飲み干した。
「今ヘルプしますからね…ドクター…フフフフフへへへへへへ…」
「君が・・・鎌居太地君だね?探したよ。」
助手の身体が光り始めたところで、後ろから布を顔に当てられた。
身動きできなくなったところで、頭から足先まで黒い袋に入れられ、光は遮られた。
助手を拘束した彼は、全てを見下ろす目をした男だった。
ほう。エージェント…やるじゃないか。
だが、次はどうかな…?欠伸の止まらない、平和な日常とやらを守れるかな?
Missionは続く…
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