9.佳穂とカフェで

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「で、結局認めちゃったって言うの?」  はぁ〜っと目の前で盛大な吐息を落とされて、「溜め息をつきたいのは僕の方なんだけどね」と思った修太郎(しゅうたろう)だ。  目の前には元許嫁(もといいなずけ)の――というかすぐ下の弟健二(けんじ)の幼なじみで妻の――神崎(かんざき)(旧姓四谷(よつや)佳穂(かほ)が居た。  たまたま入った、神崎の実家近くの喫茶店で偶然出会ったのだ。 「今日は健二と一緒じゃないのか?」 「そっちこそ愛しの日織(ひおり)ちゃんはどうしたのよ」  そんな腹の探り合いみたいな言葉から始まった会話は、いつしか日織(ひおり)のバイトの話に及んでいて。 「何であと数ヶ月で結婚式って時になってバイトなんか」  式の打ち合わせだけでも結構大変な時期でしょ、と至極マトモな感想を漏らす佳穂に、そういえば目の前の彼女も、半年ちょっと前に挙式を済ませたばかりだったな、と思い至った修太郎だ。 「佳穂、結婚式の打ち合わせは楽しかったか?」  少なくとも日織は式の打ち合わせのたび、修太郎の横でキラキラした目をして、担当プランナーの瀬戸さんと嬉しそうに話しているように見える。
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