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「いつか私も飲んでみたいのですっ」
フルーティーで華やかな吟醸香を想像して、日織は我知らずゴクリと喉を鳴らしてしまっていた。
「日織ちゃんは本当に日本酒が好きなんだね」
その音を聞きつけられたとは思いたくないけれど、そんなタイミングで一斗に眼鏡の奥の目を細めてニコッと微笑みかけられて、日織は愛する修太郎をふと思い出してドキドキしてしまう。
そのせいで脳がバグを起こしたみたいに
「好きですっ! 大好きなのですっ!」
そう思わず勢い込んで答えてしまってから、それが日本酒に対してなのか、修太郎を想ってのことなのか自分でも分からなくなって、日織はほわりと照れてしまった。
「僕のことじゃないって分かってても、こんな間近でこんな可愛い子から真っ直ぐに『好き』って言われちゃったらドキドキしちゃうね」
クスクス笑われて、日織は余計に頬が熱くなってしまった。
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