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「そっか。日織ちゃん、免許取ってないんだ」
それでだろうか。
一斗がホウッと吐息をつくように自分の言葉を繰り返してきたことに、他意なんてないと分かっているのにソワソワしてしまう。
「わ、私……今まで必要性を感じなかったので、自分で車の免許を取得するとか、考えたこともありませんでしたっ」
一息に吐き出すように言って視線を落としたら、「キミはまだ若いんだし、必要だと思ったなら今から取ればいいんじゃないかな。問題ない、問題ない」と頭をふんわり撫でられた。
それが心地よく思えて甘んじて受け入れてしまってから、日織はハッとして「ダメ!」とフルフル首を振った。
「い、一斗さんっ。わ、私っ、〝人妻〟なのですっ。お触りは厳禁なのですっ!」
そうでないと、修太郎に申し訳が立たない。
「え〜。僕はそんなの関係なく日織ちゃんをデロッデロに甘やかしたいのにぃ〜。――どうしてもダメ?」
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