447人が本棚に入れています
本棚に追加
ふふふっと笑って「いただきま〜す」と吟醸酒の波澄に嬉しそうに喉を鳴らす日織を見て、一斗はキョトンとさせられる。
「どういう……意味?」
「えっと……。実は一斗さんにお会いして気がついたんですけど……。私、どうやら〝僕〟って口調と、眼鏡をかけた男性が好きみたいなのですっ」
言われて、日織ちゃん、僕萌え眼鏡フェチだったのか!と思ってしまった一斗だ。
こんなことなら「眼鏡猿と言われるのは嫌だ!」とかくだらないことを考えて見えないのを我慢したりせず、早くから眼鏡デビューを果たしておけば良かったと思ってしまった。
けれど、やっぱり何もかも後の祭りだというのも分かっていたから、一斗は始まる前に終わりを告げた自分の恋心を嘆いて、ひとり小さく吐息を落とした。
最初のコメントを投稿しよう!