13.好きなものを好きだと思うのは悪いことなの?

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 ふふふっと笑って「いただきま〜す」と吟醸酒の波澄(はすみ)に嬉しそうに喉を鳴らす日織(ひおり)を見て、一斗(いっと)はキョトンとさせられる。 「どういう……意味?」 「えっと……。実は一斗(いっと)さんにお会いして気がついたんですけど……。私、どうやら〝僕〟って口調と、眼鏡をかけた男性が好きみたいなのですっ」  言われて、日織ちゃん、僕萌え眼鏡フェチだったのか!と思ってしまった一斗(いっと)だ。  こんなことなら「眼鏡猿と言われるのは嫌だ!」とかくだらないことを考えて見えないのを我慢したりせず、早くから眼鏡デビューを果たしておけば良かったと思ってしまった。  けれど、やっぱり何もかも後の祭りだというのも分かっていたから、一斗(いっと)は始まる前に終わりを告げた自分の恋心を嘆いて、ひとり小さく吐息を落とした。
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