14.予測不能の猪突猛進娘

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 今日は結婚式の打ち合わせで式場に行くことになっている。  羽住(はすみ)酒造でのバイトが終わる十七時頃、修太郎(しゅうたろう)がそれに合わせる形でほんの少し早めに仕事を切り上げて日織(ひおり)を迎えに来てくれた。 「修太郎(しゅうたろう)さんっ!」  羽住(はすみ)酒造の駐車場に修太郎の愛車――黒のアルファード――が停まるなり、日織が嬉しそうに建物の中から走り出てきた。  その姿はまるで主人を待ちわびていた子犬のようで。  思わず運転席から外に出ると、修太郎は軽く両腕を広げて日織が飛び込んでくるのを待ち受ける。  そうしながらも、視線は日織がいま出てきたばかりの羽住(はすみ)酒造販売所入り口に立っている和装の眼鏡男をじっと(とら)えていた。 「あのっ、わざわざお迎えに来てくださってありがとうございますっ!」 「いえいえ、お安い御用です。それより日織さん、お仕事お疲れ様でした。今日も一日楽しく過ごされましたか?」  言いながら、腕の中の小柄な妻を外界から包み隠すようにギュッと抱きしめる。 「もちろんなのですっ。皆さんとても良くして下さるので、今日もすっごくすっごく楽しかったのです♥」  ハートが飛んでいるのが見えそうな上機嫌の日織の言葉を聞きながら、「日織さんのおっしゃるには、当然あの〝和装眼鏡男〟も含まれているんだろうな」と思ったら必然。やたらとモヤモヤしてしまった。
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