14.予測不能の猪突猛進娘

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(あの男が前に日織(ひおり)さんが話していらした和装が似合うとかいう……?)  目が合ったので会釈(えしゃく)をしたら、それを受けたように向こうも柔和(にゅうわ)な笑みを浮かべて修太郎(しゅうたろう)に軽く頭を下げてきた。 (外面(そとづら)は良さそうだけど、腹に一物(いちもつ)二物(にもつ)も抱えてそうな男だな)  自分のことを思いっきり棚上げして、そんなことを思ってしまった修太郎だ。 「あのっ! 一斗(いっと)さーん! 今日は貴重なくださって、どうも有難うございましたっ! 私、すっごくすっごく幸せだったのですっ♥」  修太郎らのやり取りに気付いた日織(ひおり)が、修太郎の胸元から顔を上げると、ニコッと笑って無意識に眼前の夫へ嫉妬の火種をまき散らす。  修太郎は〝一斗(いっと)さん〟と呼ばれた優男(やさおとこ)を見つめながら、腕の中の日織に「……お酒?」とつぶやいた。  以前、「僕のいないところで飲酒をなさってはいけませんよ?」と噛んで含めるように言い聞かせたはずなのに、どういうことでしょうね?と思わずにはいられない。
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