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「もぉ、修太郎さんったら……い、いきなりびっくりしたのですっ。――私、自分でシートベルトを付けられないほど疲れてはいないのにっ。本当甘々さんな困ったちゃんなのです」
一気にそこまでまくし立てると、こらえ切れないみたいにクスクス笑って。
シートベルトをつけ終わって自分から離れようとする修太郎の服をギュッと握ると、「でも……実は私っ、修太郎さんに甘やかされるの、嫌いじゃないのですっ。というよりむしろ大歓迎なのです……。ご、ご存知でしたか?」と修太郎の耳元、囁くようにくすぐったいセリフを落とした。
修太郎はここが羽住酒造の前で、一斗が未だにこちらを見ている可能性があるというのも失念して、日織を無茶苦茶にかき乱したくなってしまった。
予測不能の猪突猛進娘は、時折こんなふうにTPOなんて完全無視で、修太郎の理性を吹っ飛ばそうとしてくるから本当に危険なのだ。
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