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「はっ、羽住くんにはっ……いっ、いじめられた記憶しかないのですっ!」
学校帰りに待ち伏せされて追いかけ回された挙げ句、用水路に突き落とされたり、断っても断っても鞄を持ってやるとゴリ押しされて、結果荷物の取り合いになって中身が道端にぶちまけられてしまったり。
「私、羽住くんが苦手だったことを覚えています!」
――むしろそれしか覚えていないのですっ!
心の中でプンスカしながらそんな言葉を付け加えて、無意識に羽住から距離を取ったら、キョトンとされてしまった。
「ちょっ、藤原! 嘘だろ? 俺、今すげぇショック受けてんだけど」
仲良しだと思っていたはずの女の子に、そんな風に思われていたとか!
ぶつくさ言いながら、それでも日織のそばを離れようとしない羽住に、
「あのっ、私っ、あっちに行きますのでっ」
そちらが離れてくれないのなら自分が、と思ってその場を離れようとした日織だったのだけれど。
「待てよ。俺、今日はお前が来るって聞いたから来たんだから。――逃げんなよ」
ギュッと手を掴まれて、そんな風に言われてしまう。
「俺がガキ過ぎてデリカシーがなさ過ぎたっちゅーんなら謝るよ。なぁ、藤原。俺、ずっとお前に会いたかったんだって」
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