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自前のものなので事前に合わせていたし、着てみる必要は微塵もなかったのだが、日織がどうしても見たいとごねた結果、服の上からスタッフさんが袴を履かせてくれて、それに羽織をバサッと羽織って何となくの雰囲気を見せた修太郎だ。
だが、日織はそれだけでもかなり感激したらしい。
「一斗さんも和装が良くお似合いですが、やっぱり私は修太郎さんのお姿にときめくのですっ」
どこかホッとしたように日織がつぶやいて、修太郎はその言葉にピクッと反応する。
「――そういえば夕方お迎えに上がったときから気になっていたのですが……」
何だかんだあって問い詰めるのが遅くなってしまっていた。
「日織さんはあの和装の男性のことを下の名前でお呼びになっていらっしゃるのですか?」
日織をおびえさせてしまってはちゃんとした話は聞けないから、なるべく穏やかに聞こえるように言葉をつむいだつもりだけど、うまく行ったかどうかは自分でも良く分からない。
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