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修太郎に突然肩を掴まれた日織は、その手の力強さに思わず眉をしかめる。
「しゅ、たろぉさっ、痛いです」
抗議の声を上げたら「あっ、すみません」とすぐに力を緩めてくれたけれど、離す気はないらしい。
「あ、あの……」
たかだか呼び名ですよ?と続けようとして、ジロリと恨めしげに見つめ返された日織は思わず言葉に詰まって。
「こ、子供の頃からそう呼ばれていたので……えっと、ぎゃ、逆に違う呼び方で呼ばれることが……その、そ、想像つかないのですが……」
言葉を選びながら恐る恐る言えば、「彼は日織さんが結婚されたことはご存知なんでしょう?」と畳み掛けられて。
「……はい」
と答えたら「でしたらこれを機に〝塚田〟で呼んでもらえばいい」とどこかで聞いたことのある提案をされてしまった。
(あ、これ、十升が一斗さんに言ってた言葉なのです)
そう思い出した日織は、思わず「羽住くん、すごいのです! 修太郎さんのこと、よく分かっていらっしゃるのです!」と感嘆の声を漏らしてしまって。
修太郎に「何故ここで彼?」とジロリと睨まれてしまう。
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