18.大安吉日

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 神殿入りしてからは儀式進行役の神職による『斎主挨拶(さいしゅあいさつ)』のあと『修祓(しゅばつ)の儀』で全員でお祓いをしてもらって(けが)れを清めていただいて。  斎主が神様に寿(ことほ)ぎの言葉を述べる『祝詞奏上(のりとそうじょう)』を済ませて、『三献(さんこん)の儀』――いわゆる三三九度をするという流れだった。  小型・中型・大型の(さかずき)をそれぞれ三回ずつ、決められた順番・作法に(のっと)って修太郎と交わした日織(ひおり)だったけれど。 (せっかくの御神酒(おみき)、緊張してサッパリお味が分からなかったのです!)  などと、日本酒好きの新婦が一人残念に思っていることなんて、きっと修太郎以外誰も気付いてもいなかっただろう。  新郎新婦の二人で神に向かって誓いの言葉を述べる『誓詞奉読(せいしほうどく)』は、修太郎がほぼ全文を読み上げてくれて。  日織は最後に自分の名前を添えるように言うだけで良かったから本当にありがたかった。 (修太郎さん、すっごくすっごく頼もしいのですっ)  修太郎が誓いの(ことば)を、よく通る、うっとりするようないい声で読み上げている間、日織は緊張だけではない胸の高鳴りを覚えていた。
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