18.大安吉日

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 実際には三人が気付かないところで、更にもう一杯、日織(ひおり)自身が勝手に手酌(てじゃく)で注いで飲んでしまったことが『日織寝落ち事件』の決定打だったりするのだけれど、そのことは誰も知らなかったので〝理人が悪い〟ということになってしまった。 「塚田(つかだ)さんがひおちゃんにこれ以上飲ませないようになさってらしたの、理人だって分かってたでしょう?」  葵咲(きさき)にキッと睨まれて、「本当、ごめんって。――けど、お酒の力を借りないと話せないこともあるだろう?」と、謝罪しつつも理人は懸命に反論を試みる。 「――現にだって内々定のこと」  と拗ねたようにつぶやいて葵咲を見つめたところを見ると、珍しく理人が葵咲に物申しているのはそれが理由らしい。  それに気付いた葵咲は、「そっ、その話の続きはホテルに帰ってからっ」と慌ててそっぽを向いてしまった。  程なくして、修太郎が手配したタクシーに乗って二人は帰ってしまったのだけれど――。 (僕はお止めしたのに……。自業自得とはいえ、知らない間にお友達が帰られたって知ったら……日織さん、悲しまれるだろうなぁ)  そう思ったら、スヤスヤと眠る日織の寝顔を見つめながら、思わず溜め息の漏れる修太郎だ。  それに――。  せっかくの〝初夜〟だと言うのに。  そちらもどうやらお預けになりそうで。  修太郎的には、何もかもが大誤算だった。 --------------------- 【お知らせ的な】 理人と葵咲(きさき)のこの後の顛末(てんまつ)については今抱えている諸々(もろもろ)の連載物が落ち着いたら『僕惚れ』シリーズ(https://estar.jp/series/1177014494f93f59-39c1-4abc-abbc-6938235beb2d の方でちゃんと拾おうと思っています。 その時こそは二人の結婚式になるかな?と思っています♡ 理人と葵咲は私のエブ活での原点の子たちなので思い入れが強すぎて…なかなか本当の意味で「完結」まで書いてやれないんですよね。←愛が深すぎて。特に理人への(笑)。 ---------------------
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