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「藤原が来てくれたらうちの蔵、すげぇ助かるんだけど」
自分が他者から必要だと言われるのは、日織の心を堪らなく揺さぶった。
「あ、あのっ。すっごくすっごく興味津々なのですっ。でも――」
「ああ、家の人とよく相談した後に返事くれたんで構わねぇよ。即決は求めてねぇ」
言われて、「ってわけで――」とスマホを取り出された日織は「ん?」と思う。
「連絡先」
聞いておかないと、是か非か聞けねぇだろ?と続けられた日織は、「ああ、その通りでしたっ」と慌てて鞄の中をガサガサする。
取り出したのは、修太郎とお揃いの食べかけリンゴマークメーカーの、真っ赤なスマートフォン。
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