19.始まりの日*

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 暗闇の中。喉の渇きにふと目を覚ますと、修太郎の腕の中で。  一瞬、何が起こっているのか状況への理解が追いつかなくて思わず「ひゃ、しゅっ⁉︎」と変な声の出た日織(ひおり)だ。 「……お目覚めに、なられましたか?」  その気配に、日織と一緒に眠っていたらしい修太郎が目を開けて、腕の中の日織をギュッと抱きしめて逃さないようにする。 「あ、あのっ、き、ききちゃんたちは……」  恐る恐る聞いてみたら、「もう随分前に帰られましたよ」と言われて大ショックの日織だ。 「そんなっ」  眉根を寄せてつぶやいたけれど、寝落ちしてしまった自分の責任なので誰にも文句が言えなくて。  しゅん……と落ち込んでいたら、修太郎から、「新婚旅行の途中できっとお会い出来ますよ」と頭を撫でられた。  今は夜中だから無理だけれど、旅先で落ち着いたらききちゃんに打診してみよう!と思った日織だった。 ***  妻に甘々な修太郎は、日織からのたっての希望を聞く形で、旅行先を葵咲(きさき)たちの住む町に隣接した大型テーマパークにしていた。  入籍からは間が空いてしまっていたけれど、挙式日前後の結婚休暇も認められていたので、それを利用した修太郎だ。  扱い的には有給休暇で、職員課からは最長で五日間取れると言われたのだけれど、管理職という立場も考慮したら四日間がギリギリラインだった。
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