19.始まりの日*

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 修太郎は「待っていて?」と日織(ひおり)をベッドに横たえると、キッチンに飲み物を取りに行った。  お酒を飲んだ日はやたら喉の渇きを覚えるものだけれど、きっと日織もそうなんだろう。  水が苦手で、炭酸水ならば飲める日織のために、炭酸水の入ったペットボトルとグラスを手に戻って来てみると、日織がベッドの上にちょこんと正座していた。 「日織さん?」  何事だろう?と不思議に思って呼びかけると、 「しゅ、修太郎さんっ、あの……私、今夜は大切な初夜なのにこんなっ。本当に……本当に申し訳ないのですっ」  言って、ガバリと頭を下げて。  修太郎はベッドサイドにグラスと炭酸水を置くと、そんな日織(ひおり)をギュッと腕の中に抱きしめた。 「ねぇ。でしたら……今から……いいですか?」  問えば、ピクッと日織が身体を震わせたのが分かった。 「で、でもっ、明日は朝早くに空港に向かわないといけないのですっ……」 「……はい。飛行機での移動なので、最悪の場合そこで眠れますね」  当然のように言ったら、日織がまるでキュッとしがみついてきた。 「――は、始める前に……お水を飲ませてくださいますか?」 「もちろんです」
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