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「あぁ、んっ、修太郎さっ、それ、……ダメな、のですっ」
途端ビクッと腕の中の日織が跳ねて、腰に回した修太郎の手をギュッと掴んできた。
そうして息も絶え絶えの様子で修太郎を振り返ると、「修太郎さんっ、何を……っ、読、んでいらしたのですか?」と涙目で問いかけてくる。
「あれ? 言っていませんでしたか? 谷崎潤一郎の『痴人の愛』ですよ?」
手で覆ってタイトルを見えなくしていたくせに、いけしゃあしゃあとそう告げると、修太郎はクスッと笑って日織に件の文庫を手渡した。
そうして、まるでお預けを食らわされて我慢が出来なくなりました、といわんばかりに剥き出しのままの日織の胸を背後から手のひらでギュッと包み込む。
「僕はね、この箇所を読むたびずっと想像していました。僕の愛する日織さんの肌はどんなに美しいんだろう?って」
胸をゆるゆると揉みながら、その刺激に耐え切れないとばかりに前屈みになった日織の首筋に、そっと唇を寄せる。
チュッと音を立ててそこを軽く吸うと、白い肌がほんのりと赤く色づいて。
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