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日織の見舞いからおよそ1週間――。
彼女が元気になった頃、今度は修太郎が喉をやられて寝込んだ。
症状からして、日織の風邪をもらったとしか思えなくて。
身体はしんどいのに、そのことがやけに嬉しくて堪らない修太郎である。
(日織さんの身体の中にあったウイルスが、いま僕の身体の中で増殖中……?)
そんなことを思うと、震えを伴う悪寒や関節の痛みでさえも、狂おしいほどに愛おしい。
「私、お父様とお母様に許可を頂いて参りましたのでっ」
日織がそんな修太郎に、体温計を差し出しながらキリリと言い放った。
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