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「許、可……?」
受け取った体温計を小脇に挟みながら、熱い吐息とともに日織を見上げれば、
「はい! 修太郎さんの看病をするための無期限の外泊許可なのですっ!」
そう返されて、修太郎は瞳を見開いた。
「あの、日織さん、それ……は」
本当ですか!?と、日織を抱きしめて大喜びしたいところなのに、喉が痛くて上手く喋れない。その上、身体が怠くて思うように動けないとか。
それらが、修太郎にはもどかしくて堪らなかった。
「私のうつした風邪なので、きっと私には戻ってきませんっ。よくは存じ上げませんが、免疫ってそういうものなのでしょう?」
眉根を寄せて問いかけられて、修太郎は思わず日織をじっと見つめてしまう。
確かに自分もそう言う風に認識しているけれど。
時折、修太郎が驚くほどやけに博識になったり、「今更そこに気づきますか?」と驚かされるような常識的なことを発見して嬉しそうに「すごいことに気付いたのですっ!」と微笑んだり。
日織は本当に掴みどころがない。
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