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「でしたら、日織さ、……お願、いが……」
妻として頑張る!と張り切る日織に、ちょっぴり妻らしいことをしてもらいたくなった修太郎である。
「はいっ! 何なりとお申し付けくださいっ!」
ニコッと微笑む日織に、修太郎は熱に浮かされた頭で、それでも確かにニヤリとほくそ笑んだ。
そこで、ピピピッと検温終了を知らせる音が鳴って、日織は体温計を修太郎から受け取って。
「た、大変なのですっ! 修太郎さん、38.6度もあるのですっ! 高熱なのですっ!」
オロオロと心配そうに言う日織に、チャンスとばかりに修太郎が口を開いた。
「そう。ずっと熱が続、いているからか……実は……結構汗をかいてま、して、その……割と気持、ち悪、ぃんです。な、ので……着替えを……」
――お願いできますか?
パジャマ代わりに着ているスウェットの胸元をちょっぴり引っ張ってアピールすれば、日織が真っ赤な顔をして、
「おっ、お着替え、れしゅかっ?」
何故かめちゃくちゃしどろもどろになって舌を噛む。
それが何とも可愛くて、修太郎は熱があるにも関わらず、別のところにも熱がこもりそうで自分の元気さ加減に苦笑した。
先の検温で38度超えの熱があるのは分かったが、そんな状態でも日織が相手なら、難なく出来てしまえるんじゃないかとさえ思ってしまった。
まぁさすがにそんなことをしたら反動で自殺行為になりそうだから、自粛はするつもりだけれど。
可愛い日織を更に追い詰めて照れさせるワガママを言うくらいなら平気だろう。
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