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(だけど、せっかく僕の看病のために外泊許可を取ってくださっているようだから、それを大いに使わせて頂かない手はないですよね)
(元気になっても弱ったままのフリをして……日織さんを引き留めるのも悪くない気がしますし)
洗面器に熱々のお湯を張って現れた日織を熱に潤んだ目で弱々しく見つめながら、修太郎がそんな悪巧みをしていることを日織は知らない。
清拭後、照れと闘いながら必死に着替えさせた修太郎が「寒気がするので……、僕と一緒に……寝て頂け、ますか」と甘えてくるまであと30分ちょっと。
日織の受難は、今まさに始まったばかりだ。
もしかしたら彼女自身が風邪をひいてしまった瞬間から、彼に追い詰められることは運命られていたのかも知れない。
そうしてこれから数日の間に起こるアレやコレやも。
でもそれはまだ先の、人智の及ばないところ。神様だけが知る話――。
END(2021/09/24-9/25)
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