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納戸から出て来たのですっ
土曜日のお昼前。
修太郎がいつものように愛しい妻を実家に迎えに行くと、日織がパタパタとスリッパの音を響かせて出迎えてくれた。
玄関先に泊まりの荷物が馴染みのボストンバッグにまとめてあって、その横に何やら見慣れない箱が置いてあるのに気が付いた修太郎だ。
今から明日の夜まで丸一日、夫である修太郎の家で過ごすことになっている日織は、修太郎の視線にニコッと笑う。
「昨日お母様と家の納戸を整理していたら、出て来たのですっ」
修太郎との新生活に向けて、藤原家の方でも、使えそうなものを娘に持たせようという話になっているらしく、このところしょっちゅう母・織子と物の整理をしているらしい日織だ。
その折に見つけたのだとその箱を修太郎に手渡した。
箱はA4サイズより一回り大きいぐらいで、コンパクトホットプレートと書かれていた。
日織のスマートフォンみたいに鮮やかな赤色の長方形のホットプレートが描かれていて、どうやら平面プレートと、たこ焼きプレートの二種が切り替えられる仕様になっているらしい。
「ホットプレートですか?」
それなら家にもあるんですけどね?と思った修太郎だったけれど、日織のお目当てはどうやら「これ、たこ焼きも出来ちゃうのです!」というところらしい。
確かに修太郎が持っているホットプレートにはその機能はない。
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