塩辛いのと甘いの

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塩辛いのと甘いの

「たこ焼きを作るとなると材料を買って帰らないといけませんね」  そう言ってスーパーに寄ってくれた修太郎(しゅうたろう)が、たこ焼き粉やタコなどを調達しに行っている間に、「私もちょっと欲しいものがあるのですっ」と別コーナーに走って行った日織(ひおり)だ。  片時も日織を手放したくない修太郎が、思わず「待って!」と手を伸ばしたけれど、日織はそれをスルリとすり抜けて走り去って行ってしまった。  こう言う時にしみじみと年の差を感じさせられて修太郎は溜め息を落とす。  動かない方がきっと合流しやすいと踏んだ修太郎が、日織と別れた時のまま、粉物の棚の前で待っていたら、日織が菓子の棚からビターの板チョコを取って戻ってきた。  そうして修太郎のすぐそば――粉物の棚からホットケーキミックスを手に取ると、板チョコと一緒に修太郎が手にしたカゴの中に入れる。 「重くないですか? カート、取って来ましょうか?」  日織が入れたホットケーキミックスは、五百g入りでずっしりと重い。  他にも卵や牛乳が入ったカゴの中はとても重そうで。
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